若木民喜
Vol.10 /2006/02/22
こんにちは、団塊の世代が生んだ愛の結晶です。
今回は10回目です。
今回は第10話でした。もう10話。
しかし、未だにまだ毎週毎週設定の説明とは・・・。しかし、ここを外すと、物語を進行できなくなるのでもうちょっとおつき合い下さい。あと、1回です(まだあんのかよ)。
そうそう、年賀状の発送の方は先週終わりました。今の時点で家に着いてないって方がいらっしゃったら、僕のところにお便りが届いてないか、お便りは来たが僕が書き漏らしたか、郵便配達人がヤギノイドだったかのいずれかです。手紙だしたのに届いてねーじゃねーかーという方は文句を書いてきてください。幸い(?)手作業で処理できる数だったので、全て手書きで返事が書けてよかったです。100通も200通も来たら書ける訳ねーもの。でも、まだ10話しか描いてない新人の漫画描きにとっては、勇気づけられるのに十分な数のお手紙をもらいました。ありがとうございます。来年もできればいいですね。ちなみに、年賀状の絵柄は基本アルバトロスですが、気まぐれで朝倉バージョンの年賀状も何枚か混ぜておきました。どっちが届いたでしょうか?
さて、先週のスイーツ話の続きです(聞きたいのか?)。
赤坂。スイーツの王者ピエール・エルメのティールームがあるホテル・ニューオータニの前に立った私。威風堂々と佇む老舗ホテルに一瞬ウッとなる。実はこのニューオータニ、以前週刊読み切りの『アルバトロス』を描く際にホテルの写真を撮りにここに来たのだが、余りにも立派なので逃げ帰ったという苦い過去が私にはあるのだ。
同じ轍は二度と踏まん!
アシスタントを連れてる手前もあるし。
広大なホテル構内をフカフカの絨毯を踏みしめながら突っ切り、ティールームのなかへ。恐ろしく上品な雰囲気だ。ふ、ふふん、これぐらいで動揺はしないさ。そして、パリっと決めた店員がケーキのメニューを手にやってきた。そのメニューを一瞥した後の私の返事。
「これ、全部持ってきて」
言ってやった言ってやった。ズラリとテーブルの上に並んだピエール・エルメのケーキ。しかも、全種類だ。これ全部、僕が食べていいのである。ドラゴンボールを全部集めたら、きっとこんな気分であろう。今、世界が我が手に! 子供の頃の甘味飢饉の思い出が見る見るセピアになっていく。僕の復讐は遂に成った!
・・・・十分後。私は早くも後悔していた。ケーキって、意外と食うの大変だったんだね。僕は甘いものが好きなんだが、沢山食えないのだ。ケーキバイキングでも3つぐらいしか食べられないの。最初の1つ、2つはまさに天国の味だったが、4つ目を食べてる辺りで早くも限界。さすがピエール・エルメ、どのケーキも趣向を凝らしてある芸術品で、濃厚かつ密度のあるものである。それら将軍クラスのケーキ全てを相手にするというのは明らかに無謀だった。しかし、気づいた時には遅かった。店に入るまでは、心のなかであれほど高らかに鳴っていたホラ貝の音が、今や舐めすぎたフエラムネのように、消え入りそうな音に変わっていた。2個にしときゃよかったのに、何で全種類食おうとか思ったんだろうなぁ。自分のマンガでもそうだが、僕はその時その時の思いつきを優先する余り、大局を見るのを忘れてしまうのだ。
一緒に行った仲間と協力してケーキは全部食べた。美味しかった美味しかったと喜ぶ仲間達の横で、僕は満腹の胃袋と敗北感を抱えていた。子供時代の夢を叶えたはずなのに、何だ、この空しさは! やっぱりケーキは1個ずつ食うべき! 何よりもったいない! スイーツの神様に謝りたい気分であった。
しかし、神様はしっかり見ていた。それから一週間も過ぎた頃、僕の口内に罰が下った。
僕は虫歯になっていた。
続く。
(ネタが尽き気味なので無理矢理続きます。)